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国土強靱化による国民の貧困 [経済・社会]

国土強靭化による国民の貧困
公共投資をすれば、景気が回復するという信仰が、日本経済を潰してしまった。
田中角栄の日本列島改造論による公共投資が凄まじい経済成長とインフレを引き起こし、日本中を席巻したが、それは日本の高度成長期の象徴としてまだまだ鮮明に記憶されている。
しかしそれを再びと、それに匹敵する国土強靭化による莫大な公共投資が、国中を貧困化させ、大借金を築いてしまったのだ。
同じような政策でも、結果は全く掛け離れたものである。原因は、日本列島改造は、インフレ時に行われたものであり、国土強靭化は、デフレ時に行われたことにある。
ただそれだけで斯くも結果が異なるのである。公共投資でデフレは解消できない。
デフレ下では、インフラ投資や、災害復興の投資などは、いくらつぎ込んでも、果てしないブラックホールに吸い込まれるかのようである。
計画したインフラがどんどんできあがり、すばらしいものが完成する、そのでき映えにほれぼれするかもしれない。そこだけを見れば景気が回復したかのように見えるだろう。
しかしそれとは裏腹に全体の経済が縮小し、借金が増えより困窮しているのである。
景気浮揚に結び付かない公共投資は、つぎ込んだ借金が一向に返せず、民間は、公共投資をこなすために、設備投資をし、労働者を雇うが、疲弊し消耗するばかりである。
公共投資を正当化するために良く使われる乗数理論であるが、既に日本は2千年の初頭頃から公共投資に対する乗数効果は無くなっている。
そのため、公共投資を請け負った企業の多くが、得た利益を、借金の返済のために使うか、余裕のある企業は、内部留保に回してしまうのである。新たな投資は行われない。デフレ下の投資はリスクが大きすぎるからである。
経済成長戦略、公共投資、低金利による金融緩和のいわゆる3本の矢が、日本経済をかくも無残に破壊し、消費税の引き上げがさらなる鉄槌を下し、壊滅させたことは以前から述べている。これは人為的な愚かな行為である。
中でも借金の莫大な増加は、何度も繰り返された莫大な借金による公共投資が、景気拡大の見返りなく、単なる莫大な借金となったことが大きな原因である。
デフレの原因は、消費が生産量に比べ著しく少なくなっていることにある。公共投資や、生産量を拡大させれば、資金が大量に生産の方に流れ、消費の方に流れないことになり、肝心の消費がよりいっそう、生産に対して脆弱になり、デフレが一向に回復しないのだ。
日本のGDPがここ30年間500兆円のままで、全く伸びていない。世界の平均成長率に遠く及ばず、足を引っ張っている始末である。その間どれだけ公共投資をしたのだろうか。借金はGDPの2、5倍以上に達している。
国土強靭化計画も、インフレ時に行われていれば、凄まじい効果を見せたであろう。
経済的には、デフレ下の復興援助は、全体の窮乏化をもたらし、景気浮揚効果はない。社会的に必要であるかどうかとは別問題である。
最近の日本は天災が続き、多くの地域で、復興のための予算が組まれている。しかしデフレ下では、それは単なる災害の復興の援助であり、景気対策にはならないと心得なければならない。
デフレ時の莫大な公共投資は、復興であろうと、オリンピックであろうと、インフラ投資であろうと、借金で行う限り日本経済を潰していく。
一言主

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