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戦後最長の景気拡大だって?平成30年間の悲劇 [経済・社会]

戦後最長の景気拡大だって?。平成30年間の悲劇

日本の現在の惨状は、デフレにもかかわらず生産至上主義の経済政策を取ったことに大きな原因があります。
最近内閣府から2千18年10月期から12月期のGDPが発表されました。日経新聞によると、18年の暦年の成長率は実質で0.7%名目で0.6%増となりいずれも12年以降7年連続のプラス成長となった。しかし成長率はともに17年を下回った。18年の名目GDPは548兆円で、昨年の545兆円を上回り過去最高となったと言うことです。
この文章だけを見ていると素晴らしく思え、アベノミクスはよくやっていると思うことでしょう。しかし実際は去年から3兆円伸びただけですし、しかも30年前の平成元年頃は、名目で既に496兆円前後ありほぼ500兆円に近く、この30年間で50兆円ほど増えたに過ぎないのですよ。
悪いことに名目値と実質値が逆転しており、デフレがまだ続いていることがわかります。(最低賃金の3年連続の引き上げなど無意味なのです)
しかも安倍内閣の初め頃GDPの計算基準が変更され、30兆円ほど上積みされています。逆に平成元年頃のGDPを今の基準で計算し直すともっと多くなるでしょう。そこへ統計疑惑も存在します。
要するに日本経済はこの30年間ほぼ成長していないのです。この間政府の借金は1200兆円超えてしまいました。借金を1千兆円近くして、いい方に見ても50兆円程度名目GDPが伸びただけなのです。
国内では毎年実質GDPが数%と伸びたとかいって喧伝していますが、外国から見れば何ら成長していないことは明白なのです。落魄の日本を象徴する統計結果なのです。
この失敗の原因は、デフレにもかかわらず生産量増大のみを目指した経済成長政策にあります。それが莫大な借金を生み続け、増税せざる負えなくなり、あろうことか消費税引き上げという人的災害をもたらしたのです。
生産至上主義の悲劇
1990年代初頭のバブル崩壊後の10年間のインフラを中心とした公共投資の拡大、消費税を5%に引き上げた後の小泉政権の竹中氏による供給サイド重視の成長戦略、アベノミクスによる大幅な金融緩和と切れ目のない公共投資などによる経済伸張策などが行われ、ほぼ一貫して生産刺激策と、公共投資、低金利を続けてきました。
昭和30年に始まる所得倍増計画の成功体験が、日本の一度成功すると条件が変わっても何の反省もせず何度も何度も繰り返すという悪癖が出ているのです。
昭和30年代以降の30年間と、平成の30年間の違いはまさしくインフレとデフレの違いです。働けば働くほど生産量以上に所得が増える時代と、働いても働いても生産量以下の所得しかもらえない時代の差です。
日本の経済学者や政治家、官僚等はこの条件の違いが理解できないのです。生産量が増えれば所得が増えると思っています。しかもまだわかっていません。まだまだ続けるように見えます。どこまで日本経済を潰すのでしょうか。
インフレ市場は消費と貯蓄の額が常に生産額を上回っており、生産量は需要の大きさに引っ張られて伸びてゆく。そのため生産の伸び以上に所得が伸張します。働けば働くほど所得が伸びる状態です。所得倍増計画による傾斜生産方式が成功したのは、その条件が整っていたからです。

ところが1990年代初頭のバブルの崩壊は、株式市場の大暴落と地価の暴落により市場の資金が借金返しに使われ消費に回る分がどんどん少なくなってゆきました。その結果実体市場は生産量に比べ消費が著しく少なくなっていたのです。
そのため生産量が増えれば増えるほど製品の価格が低下し、付加価値が減少し、所得が低下しました。
昭和30年以降の30年間と平成の30年間はこのように根本的に経済の条件が変わっており、にもかかわらず、同じ生産量に偏重した政策を取ったことが失敗を大きくしたのです。
デフレ下の市場は、収穫逓減の法則が働きます。生産量が増えるにつれ所得が減少するのです。
デフレ下の生産量増大策は、低賃金労働を強い、生活維持のため人々はより長時間働かねばなりません。日本の多くの有力企業がブラック企業化してきました。女性も高齢者も子供も、家庭の生活維持のため就労することになってしまいました。
昭和の30年間の経済成長を平成の30年間の経済政策が完全に潰してしまったのです。おそらく何もしなかった方が今より幾分ましでしょう。
これをなお続けていくと、いよいよ困窮し平価の切り下げを主張する人たちが出てくるでしょう。しかしこの平価の切り下げとて昭和20年代の猿まねです。現在とは経済条件が違っているため経済が上向きになることはありません。
なぜなら当時は戦争で工場が潰され、作れば売れる状態だったからです。しかし現在はデフレ下にあり生産工場がどんどん倒産廃業していますが、それでもなお消費に比べ生産能力が過剰な状態です。(それがデフレだ。)
そのため平価を切り下げてもデフレは何ら変わることなく続き、相変わらず売れない経済状態が続くだけです。
デフレは心理やマインドで起こっているのではありません。この言葉は日銀の黒田総裁がよく使う言葉ですが、デフレははっきりとしたデータであり、現実なのです。
2千年代に入り小泉政権の竹中氏による供給サイド重視の政策や、低金利政策、アベノミクスと称される異常な金融緩和とマイナス金利、3本の矢による成長戦略が取られてきました。
しかし現在なお働いても働いても我が暮らし楽ならず、生活が窮乏しています。子供食堂などと言う聞き慣れないものができ、繁華街が消滅し、携帯電話もいつの間にか外国製ばかりです。電化製品の企業はほぼ消滅しました。
「最近の内閣府の情報では、戦後最長の景気回復がなされた」とどや顔で報告しています。円安による輸出の増大と、インバウンド(中国観光客などによる購買)と国内の公共投資の伸びが主な要因です。民間の成長はほとんどありません。
しかも「就業者数が、人口減少下でも1990年のバブル期に近い水準にあるということです。女性や高齢者の労働参加が進み個人消費を支えていると結んでいます。」
これを鵜呑みにしてはいけません。現在外国人労働者が200万ぐらい国内におり、それも含めるとおそらくバブル期以上の就業者がいるはずです。これはこの30年間生産量増大策をとり、労働者数を増やしながら、経済成長しなかったことを物語っているのです。働き貧乏になったのです。私たちはこの30年間壮大な失敗を続けているのです。
昭和30年代の所得倍増計画による傾斜生産方式とは全く逆の結果になっています。条件が違えば政策を変えねばならないのです。

デフレは簡単に治ります。消費を倍増させる政策を取ればいいのです。
政府は先ずデフレであることを認めねばなりません。
そして消費税引き下げや、金利の引き上げ、不要な公共投資の削減、雇用保険の拡充などから始めましょう。簡単に言えば今までやってきたことの反対をすればいいのです。そうすれば、人々は仕事量を減らしながら付加価値の高い仕事を選んでいける状況が来るのです。
もう時間がありません。このままでは本当に破綻します。



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