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小泉政権の経済政策の失敗の総括 [経済・社会]

小泉政権の経済政策の失敗の総括

小泉政権の骨太政策は、実際は骨折り損の銭失いであった。(骨折り損のくたびれ儲け。)

名目GDPが世界で18番目に下がったことからそれは明らかであろう。
この間9年連続の民間賃金の減少と、総下流社会の出現、政府の継続的な借金増がそれを補強する資料である。
特に小泉政権下の名目GDPの成長率が常に実質GDPの成長率を大幅に下回っていたことは、生産物を十分な価格で販売できなかったことを表しており、低賃金の過剰労働をせざる負えなかったことを物語っている。
働いても働いても我が暮らし楽ならず、くたびれ儲けの赤字生産だったのです。

小泉政権の主要な経済失政

主要な失敗

1、デフレにおいて実質GDPを経済の主要指標に置いたこと。
デフレでは実質GDPが実体経済以上に成長するので、成長しているかのような錯覚をもたらす。それが戦後最長のいざなぎを越える経済成長をしているという誤った信号を送り出したのである。現自民党は、いまだにこの間違った成長を信じ、福田首相にいたっては、今こそ経済の成果を還元すべき時であると宣言し、経団連等に賃上げを働きかけたぐらいである。それに対して多くの企業はそれに応ぜられず失敗に終わっている。
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/ 偽装の経済成長を暴く参照)
実質GDPを政策目標にすると、国内の購買量に関係のない生産量を増やす政策を取り安い。
輸出の増大や赤字生産も実質GDPの成長に加算されるためである。
資金量を全く増やさず、生産量を増やす生産刺激策を取るため、生産物1単位辺りの利鞘が減少しているのである。これはデフレ現象を引き起こす原因と同じである。

2、民間賃金の9年連続の減少や貯蓄の減少、国の借金の増大にもかかわらず、実質GDPの成長だけをとらえ、いざなぎを越えた成長と喧伝し、国民をだました。単に赤字生産を行っていただけである。
戦争で負けているにもかかわらず勝っているといっているようなものである。
日本経済がより深刻になっているにもかかわらず、デフレから脱出しつつあり好調であるかのように演出したのである。このため政権交代後の経済政策が緩慢になった。
これが最も深刻な失政かもしれない。

3、内需を減退させたため、輸出と輸入に頼る発展途上国型の経済構造になった。
この経済型構造は、輸入は資金を海外へ流出させ、輸出は、その還流資金が、直接企業に入るため、国内市場に回らず、内需主体の国内の中小企業はより厳しい状態になった。そして内需企業と輸出企業の格差が拡大した。(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/ ここまで落ちた日本経済のパフォーマンス参照)

4、低金利過剰融資政策が、円キャリーを引き起こし、資金の国外流出をもたらし、海外の資産の高騰を招き、あげくにサブプライム問題を引き起こした。
内需が停滞した国では、国内に投資先が無く、誰も国内用に資金を調達しない。デフレにおける低金利は、国内が不況の金余り現象というスタッグフレーションを起こすだけなのである。

デフレは資金不足からくる消費の低減が問題であるため、低金利にして生産量刺激することは無意味な政策であり、預金金利を維持して消費を促すのが適切な政策である。これがバブルの崩壊から首尾一貫して取られた最も間違った政策と言える。http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/ 低金利はデフレに役だったか参照

5、プライマリーバランスという名のもとに、民間をないがしろにした財政均衡策を取ろうとするため、民間負担が増え、市場から資金を奪うため、さらに消費減退させた。資金の継続的な減少が続くデフレでは、経済の見えざる手が悪魔の手のように働き、経済縮小を促進するため、一方をよくすればおのずと他方がより悪くなる。全体が縮小している中での、財政の均衡は民間犠牲を強いるため余計に経済は縮小して行く。
来年再来年と保険料や税金が上がっていくシステムをこしらえてしまっている。
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/アダムスミスの間違い参照)

6、金融機関だけを救う銀行合併により、貸し剥がしや、債権の取り立て強化により、多くの民間企業が倒産し自己破産、自殺者が増えた。銀行による不信用創造の拡大である。銀行と企業の共存共栄の関係を断たれたため特に地方経済が振るわなくなっている。

7、低所得化をもたらしたため、総中流社会から総下流社会へと変貌しつつある。この悪いところは発展途上国型のため、最下層が生活できない所得になっていることである。

経済政策の失敗は昨年、住民税が増税になったことからも明らかであろう。本来減税している間に景気を回復させておかなければならないものを、なんら上向かせる事なくその期限がやってきてしまったのです。

日本のデフレはバブルのインフレに端を発しその終結の仕方を誤ったがために深刻なデフレに陥ってしまった。その原因は人工的に土地資産や金融資産のバブルを崩壊させたため、莫大な借金ができ、その返済のため、所得の大部分を借金返しに使うために、ハートランドの資金が大幅に少なくなり、貯蓄レベル以下まで資金が少なくなったことに起因する。

バブルの時は消費税を上げるような人工的にハートランドの過熱を縮小させる手段を取る必要があったのでる。

橋本政権の時消費税を3%から5%に上げたためハートランドから資金が幅広く、薄く平等に減少し急激なデフレスパイラルに突入しました。資金がまだまだ減少している中で、消費税を上げたことが決定的なデフレ循環を引き起こしたと言えるでしょう。

小渕・森内閣までは低金利政策と公共投資を併用し、所得減税などもやったが、借金がかさむばかりでデフレの解消には至らなかった。この間も資金が減少するにつれて所得線の角度は漸次下降していたのです。

しかし公共投資がその角度の下降を緩やかにしていたが、投資する方角が間違っているため、国の借金は莫大なものなっていった。
(この所得線は資金量と生産量の比率を表しており、この角度が下降・上昇することによりデフレやインフレ、及び正常な状態を表し、分析するやり方をハートランド理論と呼んでいます。デフレ・インフレの一般理論http://eonet.ne.jp/~hitokotonusi 第1章から26章まで)

小泉内閣になり、もはや借金をすることが財政上不可能になり、
1、公共投資がなくなりました。(最早できなくなったのが正解かも知れません。)これはよい政策です。

2、徹底的な低金利政策と過剰融資策を取り、インフレを目指すことになりました。インフレ数値こそ提示しなかったがインフレを目指したのは間違いない。)
3、さらに銀行の合併により不良債権処理を行いました。
4、デフレは供給過剰ということで企業淘汰を促進しました。
5、各種補助金などを多用し成長戦略を取りました。
6、経済成長の指針を常に実質GDPにおいていた。
7、郵政改革、唯一のデフレ解消策であるが、これとて小泉氏の夢の実現であり、本当にデフレ解消策として行ったのかは疑問形である。

しかしこれらの1と7以外の諸政策は明白にデフレを促進させるものであったため、日本経済を急速に循環的に縮小させたのです。

幸いにも中国の発展と企業努力により輸出が増えたためデフレスパイラルという急激な経済縮小は停るに至っています。しかし経済は底まで落ちてしまいはい上がれないままです。デフレの所得線は下がったままです。このデフレの所得線は角度が45度より低く、貯蓄以下のため、非常に不安定であり、いつ何時再び角度の下降が起こるか分からない状態です。

そして内需が減退した日本経済は輸出に頼るみすぼらしい姿へと変わってしまったのでした。
多くの経済学者や政策担当者は、いずれ輸出の増大が日本経済を引っ張り上げるだろうと楽観的に考えているようですが、そうはなりません。

このような資産価格の崩壊による資金減少から生じたデフレは、1929年のアメリカのブラックマンデーの大恐慌と同じ現象であるため、単なる輸出の増大ぐらいではデフレから脱出できません。アメリカは戦争によりヨーロッパ、日本などの供給手段が破壊されたため、アメリカ国内の在庫が一掃できたため復活しました。

普通の状態であれば、輸出がいくら増えてもなかなか内需が活発にならないでしょう。というのは、輸出品は、国内市場に回らないため国内の所得を形成しないからです。

輸出内容はいまだ先進国型であるが、地場産業の消滅、中小零細企業の減少はやがて開発力を弱め、発展途上国型の経済になっていくでしょう。
ここに日本の構造改革は完全に失敗に終わったのです。
特に2千零年頃から、2千4年の間の下降が激しく、
2千5年頃には資金の底まで経済が下降しました。
特にこのころのGDPの実質と名目の差が激しく、
内需の減少が低価格競争を招き、企業が利鞘を減らし続けながら生産量を増やしていたことが顕著に表れています。この頃が最も厳しいデフレスパイラルであったことが伺われます。

多くの企業が内需をあきらめ、外需による輸出への努力が結び始め、デフレながらの実質GDPの成長となっています。
日本が普通の国であればこのような中国特需のような僥倖を受けなかったでしょう。幸いにもまだ先進技術による商品力があるため、下級財の輸入額を上級財輸出額が上回り、実質GDPだけが伸びた形になっています。これは発展途上国の見本にはならない変化です。
デフレの定義:
「デフレは資金が生産量に比べて非常に少なくなった結果起こる現象であり、市場全体の資金が継続的に減少することによる消費の減退が常に需要不足を引き起こし企業の激しい低価格競争から価格が下がるものです。特に付加価値に対する価格が減少することが大きな問題になります。」

その結果企業は拡大生産に必要な利鞘(付加価値を価格で評価したもの)を稼ぐことができず、リストラなどの生産能力を削減せざる負えない状況に追い込まれるのです。この時市場には低価格品があふれかえることになります。それでも消費者は、所得が減るので買うことができず在庫増を招来することになります。

デフレは飽くまでも全体の資金が減少した資金不足による消費の減退が原因であり、企業の生産能力や効率の問題ではありません。
このような状況にあるデフレ下で、次のような政策を取ればどうなるでしょうか。

1、実質GDPを経済の基本指標に置いたこと。
デフレでは、実質GDPを主体とした政策は、物を作る量を増やすことになりがちであり、お金を殖やす政策が後回しになる。それ故実際に物を多く作っても、所得が増えない現象が表れている。生産物に十分な利鞘を付けられないのである。こういう現象はデフレ固有のものであり、付加価値の高い製品を作っても、それに見合う価格で販売できないのである。
(例えば、車の販売において、今まで原価が100万で200万で販売していたとしよう。デフレでは消費者の所得の低下からなかなか買いません。企業は、売るために機能を付加する必要から、カーナビ、エアバッグなどを付け150万の原価が掛かっている物を200万で販売するようなことが起こっている訳です。デフレではこのようなことが広範囲に起こっており、それが実質GDPより名目GDPがすくなる現象をもたらします。骨折り損のくたびれ儲けの典型です。)

2、低金利過剰融資政策:本来消費者の手元に入る金利が銀行に奪われ、企業融資に回った。
普通のデフレの状態でも資金が不足しているのであるから、さらに資金を銀行側に奪われると、消費のための資金が少なくなり企業の売上が伸びず付加価値に十分価格を付けられない。
さらに市場で低価格品があふれ返っている状態の時に、なお生産量を増大させるよう企業融資をしても、さらに競争を激化させるだけであり、倒産や借金を増やす悪循環になっている。
この低金利の過剰融資が外資に回り、又は輸出産業に回り、肝心の国内へは回らず、デフレが一向に解消しない原因である。
使いでのある円が低金利で外国に流れたため、海外資産の高騰や原油の高騰を招き、さらにはアメリカのサブプライム問題を引き起こし、世界経済を変調せしめたのである。
壮大な日本のデフレ政策の失敗がここに見て取れよう。また世界の中央銀行にしてもデフレの何たるかを知らないことが明かになったのである。デフレの無知が世界を潰した好例となるであろう。
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/ 壮大な日本の低金利過剰金融緩和政策の失敗、又は低金利はデフレに役だったか参照)
2、銀行合併による資本強化:単なる銀行救済になったためそれを取り巻く企業の強化にはならなかった。
逆に不良債権の削減から貸し剥がしと言われるような資金回収をもたらし、地方経済を疲弊させたのである。

3、供給過剰という名の企業淘汰、本来デフレは資金不足なのであり、消費者側への資金を増やさなければ根本的な解決にはならない。にもかかわらず供給削減という名の企業淘汰をしたため、企業を潰す毎に失業、リストラ、不良債権の発生し、いつまで経っても均衡が訪れないのである。特にこの2と3の政策が、中小零細企業潰しに大きな効果を発揮したため、日本の中流階層を下流階層へと移行させたのである。

民間賃金の9年連続の減少、百貨店売上も11年連続の減少はそれを裏付けるものである。それは名目GDPの低迷からも明らかである。

5、経済成長戦略:単に実質GDPの成長を目標にしたため、生産量が増加するだけで、付加価値に価格を載せることができなかった。
デフレではまず消費量を増やす政策を立てなければ経済は拡大しないのである。
デフレでは貯蓄が無いため、生産量を増やしても誰も購買金額を増やさない。
そのため企業は輸出にのめり込むことになった。

デフレ下では、所得線の角度を引き上げる方策を取らなければならない。単に生産量の増加を図ったため、十分な付加価値が取れず、利鞘が減少したのであった。それが名目の国民所得を減じたため、国内は低賃金長時間労働が顕著になった。

これは労働生産性が下がったのではなく、労働に対して正当な賃金を与えられないという意味である。労働者一人当たりの儲けは少ないが、一人当たりの生産量は多いのである。物を作る生産効率はよいが、儲ける生産効率(儲け率)が悪いのである。これ以上労働強度を上げてはいけない。
これを間違うと2千7年度の情けない労働白書になる。(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/ さらなる強制労働を強いる経済白書参照)

資金減少が続く中での生産増は、低価格競争の不毛な消耗をもたらし、かえって所得線を下げる方向に進む。
このように小泉政権下で行った主要な経済政策はかえってデフレを促進する結果をもたらしますます日本を困窮させています。

このような政策を取るのは今までの経済学が、デフレのような生産量に比べて資金が大幅にしかも急速に減少した経済を分析していないからです。
今までの経済学は需要と供給の均衡を計ることを重視したものであり、資金量の大幅な減少や増加により、所得線が45度から解離した経済を分析したものではありません。
一番の違いは全体の貯蓄が無いということが大きく影響を及ぼしている。借金が貯蓄より多いとも言えよう。貯蓄が無いことが生産を誘発しても消費を促すことが無い原因である。

この結果今までの経済学が重視した生産量の増大による経済の拡大のもくろみは、見当違いの結果をもたらしたのである。それはまさしく余計にデフレを促進するもであったのだ。

資金量が減少し、貯蓄の無い経済は、消費者側に資金を投入する政策をしなければならない、言い換えれば所得が増えなくても消費が増える政策をしなければならない。これが大事であり、それが経済を拡大させるのである。政策の方向性が全く逆なのである。

この結果小泉政権下の経済政策がもたらした弊害は、1、デフレをより促進させ、日本経済の崩壊の危機をさらに強めたと言えよう。日本は赤字生産を続けさせられたのである。
2、そして所得が減り、貯蓄が減り、下層階級が増大した。
3、政府の借金の増大、全く減らず、国民に強いた苦難はたださらに苦難をもたらしただけであった。
4、経済構造が発展途上国型への変貌を遂げた。
極度に輸出に頼る経済に陥っている。
5、財政均衡政策により民間負担の増大システムの構築。民間負担の増大がよりデフレを促進していく。
などである。
社会現象として、赤字生産は努力が報われず、精神的消耗から鬱病や自殺を増大させている。

デフレを解消する正しい政策は、
ガソリンの低減、高速代金の低減、消費税の低減など、民間負担を増やす事なく、同じ所得でも消費が増える政策がデフレの重要な主題なのである。

今回のガソリン税の低減は25円という大きなものであり、民間負担を増やす事なく、消費を増やす政策であり、デフレにおける理想の経済政策になっている。日本が放った画期的なものである。それ故、日にちが薬で経済は拡大していくだろう。

しかしながら問題なのは、原油価格の上昇による物価の上昇により、海外に出て行く資金量がさらに増えていることと、さらに年々の社会保険料の増大、老齢者への今月からの年金の引き下げなどによる市場からの資金の流出と、ガソリン税の低減による資金導入と比べてどちらが多いかという問題になるであろう。

市場への資金導入が少なければ、デフレは解消できない。それ故さらなる消費の拡大に有効な援護射撃必要であろう。

日本経済がこの25円のガソリン税の低減により、一つの壁を乗り越えたことは確かである。後は今までの
経済学による生産量を増加させることにより経済を拡大させる方法と、デフレ解消に必要な消費を増やすことにより経済を拡大させる方法とのせめぎ合いとなろう。成長戦略も資金を消費者側に導入しながらやれば成功するのである。

しかし今はまだ圧倒的に前者が多く、評論家、経営者、学者、に至るまでさまざまな分野に存在する。彼らが正しい知識をもつまでにはまだ多くの時間が必要だろう。世界もまた前者なのである。いまなおデフレにおける正しい政策を取る道は困難を極めている。
しかしこのせめぎ合いに勝たなければ、日本の繁栄はありえないだろう。

一つの重大な判断は2千8年4月のガソリン税の再値上げを阻止できるかどうかであろう。これは世紀の決断となろう。日本の繁栄及び世界の繁栄か、あるいは日本の没落かである。
覚悟めされよ。  一言主。
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi 第24章小泉政権の内政の失敗参照


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すごく的を得てますね。
by お名前(必須) (2016-12-26 13:05) 

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